写真家蜷川実花のあの色彩について

蜷川実花インタビュー 「mika / over the rainbow」
以下の記事は下記URLより転載しております。
http://www.fujifilm.co.jp/photomore/interview/ninagawa_index.html

ここ2、3年の間に雑誌などに掲載した作品を、2冊の写真集とラフォーレ原宿での展覧会でまとめて発表する蜷川さん。その展覧会が迫り、たぶん最も忙しい時期にお邪魔してのインタビューとなった。

写真という病の“重病人”なんです(笑)

自らを『重い病』と呼ぶほど、写真を撮るのが好き。ただ病気にもいろんなタイプがあるらしく、蜷川さんは日常的にカメラを持っているタイプではないのだそう。

「仕事の合間にとか、道を歩いている途中に撮る、ということができない。普段なにも考えずに歩いているときの風景と、『撮ろう!』と思って歩くときの風景とはびっくりするぐらい違いますね。カメラを持ってないときは、普通以上に鈍感かもしれない(笑)」

逆に「撮りたい!」ときはひたすら、“すかさず撮る”ことに集中する。

「眼がカメラだったらいいのに、って、いつも思うんですよ。写真は、『きれいだな』って思う瞬間と、シャッターを切るまでのタイムラグをいかに短くできるかだと思うんです。撮りたいものって、どんどん変わっていくから。花や風景はもちろんだけど、人間も1週間会わなかったら、その間の出来事で微妙に変わっていたりする。『いいな』って思う瞬間を残す方法って写真しかない、だからこんなに写真を撮ることが好きなのかなって、最近思いますね」

「去年の11月にオーストリアに旅行したんです。それまでテーマが決まっている写真を撮ることが続いてたんですけど、その時は“とにかく撮りたいから撮る”って写真を、久しぶりにいっぱい撮れた。それが本当に楽しくて。やっぱり自分の原点はこれだな、と。『撮りたい!』という気持ちにいかに純粋になるかだと、あらためて思いましたね」

今は、その旅先で撮った写真をどんな形にまとめようかとアイデアを練っているのだそう。

「早ければ年内か、年明けあたりに写真集にまとめられればな、と。私はしょっちゅう写真の整理をしていて、ファイリングが趣味みたいなところがあるんです。実は前作の『Acid Bloom』と今回の2冊は、アイデアとしてはほぼ同時のスタート。まとまった順番で発表してきただけ。いつもいろんなことを同時進行して、それがまた楽しい。かなり前向きなんですよ、私」

その前向きなエネルギーがフィルムに作用して、あんなに鮮やかな写真が出来上がるのかも? これはぜひ、展覧会で確かめなくちゃ……。

半年ぶりの個展、「撮影の裏側」もお見せします。

「今回の展覧会は、展示のあとにある“おまけ部分”が楽しいですよ。撮影で使ったキノコのオブジェや蝶々などの写真のモチーフを使って、会場のなかにセットを作っているんです。デジカメも用意して、いらした人が自由に撮影してその場でプリントアウトして持って帰れようになる予定です」

見に来た人は、もれなくninagawaワールドの住人に!! そんなユニークな仕掛けを思いついたのも、「あの色はどうやって出すの?」「撮り方を教えて」と何度も聞かれるからなのだそう。

そのたびに説明してはいるんですが、私はアナログな手段しか使ってないので、デジタル処理したり、フィルターを使ったりしてないんです。色鮮やかなものを、鮮やかな状態で撮っているだけ。仕事で撮影するときは、綿密に絵コンテを描いて、大道具や小道具は自分たちで作って、衣装を探してきて、っていう作業なんかもするので、せっかくだから、そういう部分も見てもらって、実際に体験してもらおうと……

写真集『mika』の見本を見せていただいた。収められた写真は『ヤングジャンプ』のグラビアページ、『VOGUE』のファッション撮影、ルイ ヴィトンの春夏コレクション用……と、媒体は見事にバラバラ、登場しているモデルも異なるジャンルの人ばかり。なのに、圧倒されんばかりの統一感!

「私自身驚きでした。仕事の撮影は、自分の個性よりもそれぞれの目的を優先させているんですけどね。でもまるで、私のためにみんなに集まってもらってもらったかのような感じで。あらためて、幸せなことだなぁ、と思いました」

「『over the rainbow』のほうは、可愛い世界をストレートに楽しんでもらえると嬉しいですね。昔は写真を『可愛い』っていわれるのに抵抗を感じていた時期もあるんですが、今は逆に『女の子が写っていて、カワイイって、……素晴らしいことじゃないか!』という気分で(笑)。自分が年をとってきたせいもあるのかも知れませんが」

変わらないのは、毎日、写真を撮ることを中心に過ぎていくこと。仕事の打ち合わせ、撮影、編集作業、また翌日の撮影を準備、そして公式サイトのdiaryを更新……。

「どれも基本的にやりたくてやっていること。サイトはファンの人たちと直接コミュニケ-トできるのが楽しいですね。私は作品だけ撮っているよりも、いろんなことをやっているほうがいいみたい。仕事で課題を与えられて、どうしたらクリアできるか考えるのも楽しいし。仕事でやったことが作品で生かせたりするし。振り幅を大きくもっていたほうが、自分自身の得るところがたくさんあって、楽しいんです」

<プロフィール>
蜷川実花(にながわ みか)/Mika Ninagawa フォトグラファー。多摩美術大学グラフィックデザイン科を卒業。大学在学中より様々な公募展に応募し数多くの賞を受賞。2001年には第26回「木村伊兵衛写真賞」を受賞。現在は、様々なファッション誌やCDジャケット、広告を中心に、写真集や展覧会で活躍中。
主な写真集に「Baby Blue Sky」「Sugar and Spice」「Pink Rose Suite」「a piece of heaven」「like a peach」 「Acid Bloom」「Liquid Dreams」などがある。 新刊写真集「mika」「over the rainbow」。

Official Site >> http://ninamika.com/

以外なのが、蜷川実花さんの写真のあの独特の色彩は後から加工したものではない、ということ。
まあPhotoshopで色彩を上げるなんてことは、誰にでも出来ることですから。
道具もアナログカメラを使われているようです。
以前から思うことですが、誰でも簡単に綺麗に写真を撮ることができるようになった今、オリジナリティが必要で、またそれが他人に簡単にマネされないことが重要なんだ、と。特許みたいなもんでしょうか。
こんなのどうやって撮ったんだろう・・・と思わる写真が撮れたらいいですね。

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