JAL、ANAに暗雲?  B787は大丈夫か

日本航空(JAL)が“B787ショック”に揺れている。

 米国時間の1月8日、JALが運航する旅客機ボーイング787で、ボストン・ローガン国際空港の誘導路を走行中に、左翼の燃料タンクから油が機外に漏れるトラブルが発生した。JALのB787型機では、前日7日に別の出火事故が起こったばかり。2日連続でトラブルが起きる異例の事態となった。

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 JAL7便で起きた8日の燃料漏れは、本来閉まっていなくてはならないバルブが開いたままとなっていたことが直接的な原因だ。旅客機には、両翼と胴体部分の3箇所に燃料タンクが備えられており、それぞれの間はバルブによって仕切られている。ここが開いていたことで、センタータンクの燃料が左翼部分のタンクに流れ込み、弁を通じて機外にあふれ出てしまった。

■ 「再発のおそれはない」と判断か

 バルブが開いていた原因は現在調査中。旅客機が整備を終え、滑走路へと向かうところで発生したトラブルであるため、原因は旅客機と整備業務、両方に可能性がある。ただ同便はすでに成田に向かってフライトを開始している。「再発のおそれはない」と判断したもようだ。

 一方で、より重大なのは同じローガン国際空港で起きた7日の出火事故だ。地上に駐機中、尾翼に備えられた、飛行機に電力を供給する補助動力装置(APU)のバッテリー付近から出火が発生した。この事故は現地に着陸後、10分程度の後に起きており、整備など、空港での業務の不手際により起きた可能性は低い。納入自体、昨年の12月下旬にされたばかりの新品であり、ボーイング社側の問題であるという見方が強い。

 このB787は米ボーイング社が今最も力を入れている戦略機材だ。中型機でありながら、燃費効率が同等の大きさの「B767」よりも約20%高い。従来は燃料タンクの大きい大型機でなければ飛べなかった、2万キロメートル程度までの長距離フライトが可能で、1便300~400人規模の大きな需要が見込めない中規模都市への就航が実現できる。JALが昨年より成田―ボストン線、成田―米サンディエゴ線などの新路線を開拓できているのも、このB787の力によるものだ。

■ B787はJAL、ANAの根幹を支える存在

 世界中が注目するこの新型旅客機。日本の全日本空輸(ANA)が11年に世界で初めて納入を受けるローンチカスタマーとなり、JALもそれに続いている。それだけ、両社がこの機材に寄せる期待は強く、今後の中期的なネットワーク戦略の根幹を支える存在と位置づけている。

 だが、当初08年に予定されていたANA向けの初号機引き渡しは計7回も延期され、3年以上遅れる結果となった。納入開始後もトラブルが連続。昨年7月には、納入前の試験機が飛行中に、エンジンから破片を落とす事故を起こし、米国家運輸安全委員会が調査に乗り出す事態となっている。また、昨年12月には、ANAの岡山―羽田便でも、飛行中、操縦席の窓ガラスにひびが入るトラブルが起きている。

 同旅客機の不安が解消されなければ、JALやANAが航空会社として担保しなければならない安全運航に暗雲がたれこめるのはもちろんのこと、両社の経営戦略自体も揺らぎかねない。ボーイングには一刻も早い原因究明と、対応策の実施が求められる。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130109-00012449-toyo-bus_all